モーツァルト/ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271「ジュノーム」
No.118 : 協奏曲
モーツァルトのピアノ協奏曲第9番は「ジュノーム」の名前で呼ばれることがあります。それはザルツブルクにやってきたフランスの女流ピアニスト、ジュノームのために作曲されたといわれてきたためですが、ジュノーム嬢とモーツァルトとの関係については、あまりよくわかっていません。そのために、最近になってもこの曲、実は単純に若い男(jeune homme)のために書かれたのではないか?といわれたり、ヴィクトワール・ジュナミ Victoire Jenamy という人物が浮上したりと犯人捜しが賑やかなんだそうです。どれが真実なのかはわかりませんが、悪戯好きなモーツァルトを想像してみると、若しかしたらjeune homme 説が有力かも知れませんね(笑)。
曲は第1楽章のピアノとオーケストラによる主題の応答から華やかに始まりますが、ハ短調で書かれた第2楽章アンダンティーノの悲しげに影を秘めた美しさに惹かれます。第3楽章ロンドの中間部では、優美なメヌエットが挿入されたりと、意欲的な作品になっています。
推薦盤
disc1 : マリア・ジョアン・ピリス(p)
グシュルバウアー/リスボン・グルベンキアン財団室内管弦楽団
併録曲:モーツァルト/ピアノ協奏曲第17番K.453
輸入盤LP 仏ERATO STU 70763 黒/銀Σ
録音:1972年
*溌剌としたピアノがとてもいいです。第2楽章と両端楽章の華やかさのコントラストも見事です。
disc2 : ウラジミール・アシュケナージ(p)
ケルテス/ロンドン交響楽団
併録曲:モーツァルト/ピアノ協奏曲第8番K.246
輸入盤LP 英DECCA SXL 6259 大デッカ溝あり ED2
録音:1966年
今日の写真 : 立てば芍薬・・ 東京都調布市 神代植物公園 2018年5月13日撮影
こんにちわ。
ジュノームは、モーツァルトの初期のピアノ協奏曲中でもチャーミングで人気も高く、演奏も多く出ていますね。例によって、バレンボイムを長く聴いてきました。流石に40年以上前の録音ですから、新しいものも聴いてみたくなり、最近の録音では、
Edna Stern, Arie van Beek/Orchestre d'Auvergne 2009
が気に入っています。バレンボイムとは対極にあるほど異なった演奏です。古楽オケ+フォルテピアノを思わせますが、実際は共にモダン楽器による演奏です。エドナ・ステルンは、ベルギーのブリュッセルで生まれのイスラエル人ピアニストです。彼女のバッハを聴いて以来、その才能に注目しているピアニストの一人で、ピアノの音は大変綺麗です。
その他では、
Imogen Cooper, Northern Sinfonia 2005
ピリスも聴いていますが、安心して聴ける定盤の位置づけですね。アシュケナージが、そんな昔に弾いていたとは知りませんでした。
神代植物公園の英名は、ボタニカル・パークというのですね。私はボタニカルアートが好きです。どの写真も素晴らしく、これらを元にボタニカルアートが描かれても素晴らしい作品になると思います。
ありがとうございました。
バレンボイムもアシュケナージも最近は指揮ばかりで、ピアノを弾かなくなってしまいました。ピリスも引退するようですから、何とも寂しい限りです。
考えてみれば、40年や50年も前の録音ばかり聴いていたのでは、遅かれ早かれ、こんな寂しい状況に陥ってしまうのは明らかでした。
Rookさんのようにもっと新進気鋭の演奏家を聴いて、精神のリフレッシュを図らないといけませんね。ありがとうございました。
ピアニストとしての寿命は指揮者よりも短いのでしょうね。ルービンシュタインやアラウなどは例外かもしれません。
昔の演奏が本当に気に入っていれば、新しい録音が代替えにならないご経験を、dindi_48さんは多くされていることでしょう。
最近パユがフルートソロ曲集を出し聴いたのですが、1970年と1980年に録音したグラーフのソロ曲集におけるもの凄い集中力と音楽表現を比べてしまうと、あれだけの名手でもとても太刀打ちできません。グラーフは一生聴くことになるでしょう。フルートはそう言う意味で、新盤で代替えできるかを心配しますが、ピアノやヴァイオリンは層が厚いので大丈夫だと思います。