ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調Op.106
No.180 : 器楽曲
このソナタ第29番変ロ長調Op.106 は「ハンマークラヴィーア」という呼称で親しまれています。ベートーヴェンのすべてのピアノ・ソナタの中でも空前の規模で書かれた、最も演奏困難な作品といわれています。演奏時間も40分を超えるため、この作品を弾きこなすには、極度の集中力と強靱なテクニックが要求されるのです。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタとしては久し振りに4楽章構成で書かれ、力が開放的というかダイナミックで明暗の起伏も大きく色彩的です。こんな大曲を完璧なテクニックは勿論、雄大なスケールで力強く演奏するには才能とともに並外れた努力、体力、気力が必要なのだと思います。かつて《鍵盤の獅子王》と形容されたバックハウスは、1950~54年にモノラル録音、1959~69年にステレオ録音でと2度もベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音しています。しかし、この第29番「ハンマークラヴィーア」だけは、ステレオでの再録音はおこなわれないまま、1952年のモノラル録音が2度目の全集でもそのまま使われています。
輸入盤LP 独DGG 2530869 ブルーライン盤
録音:1977年
*強靭で透徹された音を積み重ねて描くベートーヴェン!
すべての音、すべてのフレーズが確信に満ちた演奏です。
輸入盤LP 独DGG 410527-1 ブルーライン盤
録音:1983年DIGITAL
*雄大なスケールで威風堂々とし、輝かしいピアノの音がデリケートによく響きます。
輸入盤LP 英DECCA SXLA 6460 ED4
録音:1952年MONO
*淡々としていても力強く、雄大なスケールで進んで行きます。
輸入盤LP 独DGG 138944 SLPM チューリップMIG盤
録音:1964年
輸入盤LP 仏ASTRE AS47
録音:1980年
今日の写真 : 春バラ#4 栃木県那須町 コピスガーデン 2019年6月6日撮影
おはようございます。
ハンマークラヴィーアのライブラリを全て復習していて時間がかかり遅くなりました。
第32番と同様、推薦盤に異論はありません。最近の録音を含めたそれ以外で特筆すべき盤を探しておりました。昔だとピアニストがハンマークラヴィーアを録音する時、今以上に気負いを感じていたのではないかと想像します。ポリーニでさえ完璧であってもこの呪縛からは逃れられていなかったと思います。今は弾きこなす演奏者の数も増えていて、大曲の一つと言う意識が定着しつつあるような気がします。
有名なピアニストも結構いましたが、特筆すべき盤は意外にも彼らをおさえ以下の3枚になりました。また、カップリング曲が興味深く、それからも各々の個性が伺えます。機会ありましたら聴いてみてください。
Alessio Bax 2014 綺麗なピアノと止められない推進力
(月光、「アテネの廃墟」Op.113より回教僧の合唱/トルコ行進曲)
Nelson Goerner 2015 センスの良いピアニズム
(6つのパガテルOp.126)
Piotr Słopecki 2016 気負いなく自然体で好印象
(スウェーリンク:3声のファンタジア SwWV 271、バッハ:パルティータ第6番BWV830)
毎年、コピスガーデンの上品な庭園を楽しませていただいています。もしモネが行ったら喜び傑作が増えていたことでしょう。朝型のdindi_48さんはアフタヌーンティーというよりモーニングコーヒーかもしれませんが、都市部の人々も喜びそうなティーラウンジで一息入れ幸せな時が過ごせそうです。勿論、花そのものや造園の設計がしっかりしていて、少々遠くてもつい蜜蜂のように引き寄せられてしまいますね。<笑> カリオペ、作り物のようで、完全美です。
沢山のバラ、ありがとうございました。
さすがいろんな演奏を聴かれていますね。全く私は聴いたことがないピアニストばかりでした。
ご紹介いただき、ありがとうございました。
コピスガーデンの開店は10時なので、いくら早起きしても夜明け間際のいい光加減は望めません。なので今回は閉店の18時近くまで粘って写真を撮りました。17時頃になると見物人も殆どいないし、太陽光も柔らかくて、イメージに近い写真になりました。
ありがとうございました。
現代のピアニストは実力を上げていて、うかうかすると知らない人が良い演奏していることがあるので、目が離せません。でも、しばらくハンマークラヴィーアはいいです。20枚ぐらい聴きましたので・・ヘトヘト・・
コピスガーデンはやはり都市部並の開店時間ですね。丁度良い光を求め、夕方に合わせて撮影とは、私の知らないご苦労があるものですね。そんな苦労もせずに貴重な写真を見させていただき、ありがとうございました。